裏飯

アウトプット練習

小火を眺める

社会やインターネットの影響を受けて子どもが子どもをいじめ殺すなら大人や社会にも責任はあると思うが…飛び越えている部分を感じる。 - 伝外超スデメキルヤ団劇

いじめっ子の脳に違いがあるかもしれないことに納得するのは「違い」を肯定し異常者と差別することだったのか。少なくともそのつもりはなかった。 - 伝外超スデメキルヤ団劇

脳に先天的な構造の違いがありそれが性格や趣味思考に影響すると「納得する」ことを一般化したら「遺伝的犯罪者」に行きつくのか? - 伝外超スデメキルヤ団劇

犯罪脳など脳の構造に違いがあることに「納得」することは差別に繋がるのか? - 伝外超スデメキルヤ団劇


近所の小火を眺める。もう残り火のようなものだけど。

記事を書いたyarukimedesuさんとコメントを書いたmeさん、この両者の意見の些細なずれが、とても炎上っぽいし、人間っぽいなあと思う。
相互に言葉でもって理解しあうことは何と難しくて面倒くさいことか。
実は、1対1の戦いのように見えて、主張や感情が複数の枝葉に分かれてそれぞれが局所戦をやってるようなもので、戦況は一つの司令部にばらばらにやってくるので、個別に対処できず、徒に戦火が広まっていくイメージだ。


個人的なイメージとしては、yarukimedesuさんは、「犯罪者の資質が脳の違いだけで決まる」という風に読み取れるようなことを書いてしまったのが過失(あくまで炎上したことの)だったと思う。meさんは、その美味しそうな意見に食いついてしまった。他の記事もちゃんと読めば、そんな過激な話ではなくて、個人差のひとつの要因くらいの話だったことに気付いただろうけど、通りすがりで、あの記事だけ読んだのだったらしょうがないような気もする。
yarukimedesuさんの反論は、主に「あくまで個人的な思いであること」と「脳の違いを認めること」に注がれていたと思うけれど、meさんも、別にそれはええんちゃうかなと思った。meさんは、「犯罪者」を根拠の薄い何かで区別することの倫理的な問題を指摘していて、yarukimedesuさんは、「犯罪者」を根拠の薄い何かで区別するつもりはないから、区別が差別につながるというmeさんの意見が理解できないように見える。このあたり、いろんな争点があって、ややこしい。


まず両者の過失を考えると、meさんはyarukimedesuさんの主張の全体というか機微を理解せずに、「犯罪脳こえー」みたいなニセ科学に惑わされる愚民テンプレートに対して戦っているのが失敗だと思う。こういう風にインターネットは「誰と戦っているか」見失いやすいのが怖い。空に打ち出したパンチが、知らない誰かに掠ることはある。
yarukimedesuさんは、「犯罪脳」が真実だ!と言うわけではなくて、社会とか環境のせいだけじゃなくて脳の違いも要因として考えるべきだ、という主張のようなので、はっきりそれが伝わるようにしたら良かったのじゃないかなと思う。「脳の違い」だけをフィーチャーしちゃったせいで、話がややこしくなっている気がする。
yarukimedesuさんは、meさんが仮想している敵を理解して、自分がそれじゃないことを示すか、そういうものを理解してますよ、というスタンスを示すことができれば、ややこしさも減ったのかなと思う。


「納得した」ことが問題になるか?という話については問題になると思う。
たとえば、「犯罪脳」に似た言葉で「ゲーム脳」がある。根拠が薄いというか、よくわかってない脳を持ち出すせいで、よくわからない。でも、「納得」しやすい。昔はゲームなんかなかったし、ゲームの中でバンバン人を殺すし、エロゲーなんて鬼畜や凌辱なんてジャンルがあったりするし、運動にならないし、なにより中毒性がある。だから、何だかわからないけど「納得」できる。次はゲームを規制したり、自分の子供からゲームを取り上げるだろうし、それはゲームという楽しみがなくなることだけじゃなくて、ゲームを拠り所に出来た人から居場所を繋がるだろうし、ゲームをやってるからアイツはダメだみたいなことにもなってくるだろう。
そんなアホなみたいなことを、やっぱり信じてしまう人が多い。
ゲームだから、これくらいだけど、犯罪者になると、その影響は半端ない。だから、「犯罪脳」とか言う言葉を使って、何かしらの根拠なしに「納得した」と書かれると、もやもやした気持ちになってしまうだろうなと思う。
ただyarukimedesuさんは、「納得できる」と書いたわけで、「納得した」わけではないから、仮想敵を憑依させて打ん殴る必要はなかったかもしれない。


「納得は全てに優先するぜ」とジャイロは言ったけれど、デリケートな問題については、常に納得せず疑い続けないといけないだろう。何か正しいらしいとした後も、疑うことは必要だろう。
個人的に「いじめ」の問題は多分、こんな議論では話にならないのだろうと思う。社会や時代や環境や脳や体質や諸々すべてが関係してそうだからややこしいのであって、ややこしいから、外で語る人は、ぼんやりとした領域を指差して、あれが悪いとかこれが悪いとか言っているだけになってしまっている。現場で動いている人や、本気で解決しようと思っている人は、具体的な要因や、個人の違いを考えながら、試行錯誤しているんだろう。それが効率が悪いとしても、ややこしすぎて、抜本的な解決を見いだせないでいる、そんな印象だ。


最後に炎上について思うのは、ゴールをはっきりさせた方がいいよな。互いの争点がずれているのに、ずっと相手を説き伏せようとするので、長くなる。僕のこの文章のゴール(目的)は、「これを読んだ両者が『ああ自分に足りてない部分があったな』と反省し和解する」ことと、「sauke8は何と客観的で的確な意見を言うのだ、と褒められる」ことであり、心底腐ってるなと思う。ザ・人間だよなと悲しくなる。