スピーチカ
「スピカ?」
「それはおとめ座で最も明るい恒星。スピーチカだってば」
「ビーチク?」
「それは反転型の隠語で、おっぱいの先端にある……ってわざとやってるよね」
少女は周囲を見回して、頬を少し赤らめる。
「えへへ。で、何、スピーチカって。突然わけわかんないこと言うから混乱しちゃったんだよ」
「スピーチカ。簡単に言うと、人の心をつかむ演説ができる能力、またはその能力を持つ人のこと」
少年は頬を少し赤らめて、興奮気味に言う。
「エイブラハム・リンカーン、アドルフ・ヒトラー、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア、ジョン・F・ケネディ……」
「へー……私でも知ってるようなスゴイ人ばっかり」
「そうだね。でも、スピーチカは歴史上の人物ばかりじゃないよ。ミコトの知ってる人も持ってるんだよ」
「そうなの? 誰よ」
「それはね……すぐにわかるよ」
「ちょっと、気になるじゃないよー!」
少女は微笑んで、前を向いた。
「ほら、始まるよ……」
頬を膨らませ、抗議を示していた少女も前を向いた。今日は彼女たちにとって大事な日だ。ステージに光が灯り、それにしたがって気持ちが透き通っていく。
道重さゆみの「スピーチ力」に賞賛の声 専門家「キング牧師も使った手法。直すところがない」 | キャリコネニュース
力とカって本当に紛らわしいという話。けど、もう僕はスピーチカと読むことにする。「道重さゆみのスピーチカ」。深夜番組とかにありそう。
個人的なムーヴメントとしては、スピーチカ(言理の妖精)とか読ませたいところ。